COP25とは、地球温暖化対策について話し合われる国連会議です。
今年はスペインで開催され、議長国はチリ、190を超える国と地域が参加する世界規模の会議です。
国連の事務総長が、COP25の開催にあたり温暖化対策の強化と石炭火力発電の利用をやめるよう各国に求めた翌日、
梶山経済産業大臣が
「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」
と述べ、温暖化対策に消極的な国に贈る不名誉な「化石賞」を日本が受賞しました。
梶山経済産業大臣の発言で、日本は世界各国の環境NGO等から抗議される事態になっています。
「選択肢を残す」と言い方は、COP25の場では不適切であり「石炭火力発電など化石燃料の発電所は極力削減を試みる」等、言い方を変えれば良かったものと思われます。
なぜ、梶山経済産業大臣がこのような発言をしたのでしょう?
資源エネルギー庁HPより抜粋
Q1.世界的に、石炭火力発電については投資を見直したり、やめたりといった動きがあると聞きます。なのに、なぜ日本は石炭火力発電を活用する方針を変えないのですか?
日本にとって、安定供給と経済性にすぐれた石炭火力発電は一定程度の活用が必要です
(以下詳細略)Q2.世界が脱炭素に進む中で、日本が海外に石炭火力発電を輸出しているのは問題ではないですか?
エネルギー源に完璧なものはなく、石炭を選ばざるを得ない国もあり、そうした国々の経済発展とCO2削減に貢献しています
(以下詳細略)Q3.最近、石炭火力発電の建設計画が多いそうですが、「2030年度のエネルギーミックス」や「CO2削減目標」の達成は大丈夫なのでしょうか?
石炭火力発電だけがたくさん増えているわけではありません
(以下詳細略)出典:資源エネルギー庁 なぜ、日本は石炭火力発電の活用をつづけているのか?~2030年度のエネルギーミックスとCO2削減を達成するための取り組み
出典元のHPを読めば、日本のCO2削減に対する政策が示されています。
梶山経済産業大臣の発言は、COP25の場であることとタイミング的には失言ですが、日本の状況を伝えようとしたものと理解できます。
COP25において「石炭火力発電」は、日本における「原子力発電」のように非難される存在です。
原発がいくら安全と説明しても、今の日本国民が理解を示すのは困難です。
日本の「石炭火力発電」は、「クリーンコール技術」によりCO2を含め大気汚染物質の排出が削減されています。
2014年に定められた「エネルギー基本計画」でも、石炭は、「温室効果ガスの排出量が大きいという問題はあるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量あたりの単価も化石燃料の中で最も安い」ことから、重要な「ベースロード電源」(一定量の電力を安定的に低コストでつくることのできる方法)と評価されています。
この状況を世界に向けて発言し、理解を得られなければなりません。
COP25での小泉環境大臣の立場は、
日本人に原子力発電所の安全性を訴え、理解してもらうことと同じくらい難しいことと思われます。
梶山経済産業大臣が説明しようとした内容を、小泉環境大臣が懇切丁寧に説明しても、結果は同じように思えます。
別の観点からの説明が必要と思われます。
今後、日本はどのようにCO2削減に取り組んでいくのでしょう?
①エネルギー供給構造高度化法(高度化法)
小売電気事業者には、2030年度に販売する電力量の44%を、非化石電源にすることが求められています。
②省エネ法
発電効率を向上させることも求められています。新しく建設する火力発電については、最新鋭の設備である「USC」に相当する発電効率が求められています。
2030年度の石炭火力発電比率を、火力56%×2分の1未満=26%におさえる提言がなされています。③電力事業者におけるCO2排出を削減する自主的な取り組み
日本における電力エネルギーの背景には余り触れず、上記のような実質的「CO2削減の取組方針」を主に述べることで、世界からの批判を少なからず回避できるかも知れません。
COP25では、理由がどうあれ「石炭火力発電」は批判される存在です。
日本のベースロード電源が、今後も「石炭火力発電」である以上、何を言おうと聞き耳を持たないかも知れません。
世界が見守る「COP25」での小泉環境大臣の発言が注目されます。