アーリーリタイアは会社を「引退」する行為
アーリーリタイアは、直訳すれば「早期退職」です。
一般に、日本でアーリーリタイアと言えば、定年前に会社を辞め「準備した資金」で働くことなく余生を暮らすことを意味します。
準備した資金では、余生を暮らす見通しが立たず、それを補う為に働くのであれば「セミリタイア」と呼ばれています。
アーリーリタイアやセミリタイアは、定年のあるサラリーマンに限定された言葉と言っていいでしょう。
例えば、個人事業主であるプロ野球選手が、野球を辞めてもアーリーリタイアとは言わず「引退」という言葉を使います。
アーリーリタイア(セミリタイア)とは、会社を引退する行為と言えます。
FPの視点で言えば、会社を引退することで「給与所得」を放棄する行為と考えます。
セミリタイアし雇用形態(アルバイトやパート等)は別として、給与所得を得るのであれば、厳密に言えば「転職」と考えられます。
セミリタイアであれば、「配当所得」や「不動産所得」等で、生涯資金を補うのが理想と言えるでしょう。
アーリーリタイアに「失敗」は存在しない?
上述した通り、一般にアーリーリタイアと言えば、
この定義であれば、アーリーリタイアの失敗は存在することでしょう。
①準備した資金が枯渇して生活できない。
②理由はともあれ、会社で働き給与所得を得る。
多くの方が、①を心配されていることでしょう。自身もそうでした。
ただ、アーリーリタイアを検討する場合、数千万単位の資金を準備されており、老後生活に不安を抱くのが一般的です。
少なくとも、年金受給前に資金が枯渇すれば失敗と言えますが、①の失敗の多くは将来(老後)に結果がでることでしょう。
ただ、アーリーリタイアはサラリーマンに限定されており、多くの方が厚生年金に加入しています。
サラリーマンであれば企業年金のある方もいるでしょう。
また自助で個人年金に加入されている方もいるでしょう。
老後資金は人によって大きく異なりますが、極端な話をすれば、仮に厚生年金がなくても、日本であれば生活保護を受給できれば、野垂れ死にすることはありません。
詳細は記しませんが、老後生活に限って言えば、平均的な厚生年金受給者よりも生活保護受給者の方が額面的には低いですが、税金や医療費が無料等を考慮すれば実質的な生活は上回るでしょう。
自身もアーリーリタイアに失敗したことを記事にしていますが、失敗の理由は②です。
48歳で会社を辞め、アーリーリタイアを試みましたが、53歳に会社で働き始めました。
現状、会社で働き給与所得を得ているので、セミリタイアとも言えません。
「長期休職」が相応しい言葉かも知れません。
どんな仕事でも職を選ばず、「働く意欲」さえあればアーリーリタイアの失敗は存在しないよう思えます。
ただ「働く意欲」を失ったからこそ、アーリーリタイアを選択したり、検討したりするのでしょう。
アーリーリタイアで働く意欲を得る
自身は、5年間のアーリーリタイア生活で「働く意欲」が芽生えました。
そのプロセスは過去の記事にあります。
記事中にあるのですが、
ふと気が付くと、健康にも関わらず一人質素な生活をしている自分がいました。
肉体的にも精神的にも健康であることが条件と言えます。
人は誰しも過去に拘る傾向にあります。
アーリーリタイアすることで、過去を払拭することができ、未来を見据えることができたよう思えます。
気付いたのは「働くこと」が嫌なのではなく、過去の「会社」が嫌だったのでしょう。
確かに40代、50代での転職は難しいことです。
且つ、5年間の休職(ブランク)は、働くことへのハードルを高めたのは間違いありません。
人それぞれ状況が異なり、他人にアーリーリタイアを勧める気は全くありません。
「アーリーリタイアは1億円をドブに捨てるようなもの」
と言われますが、1億円は大袈裟な金額ではありません。
自身の場合、48歳でアーリーリタイアを決断しましたが、65歳までの17年間無収入です。
仮に年収600万円とすれば、
単純計算で600万円✕17年間=1億200万円
になります。
退職金があれば減額され、厚生年金の受給額も下がることでしょう。
アーリーリタイアは、この既得権を失います。
自身がこの既得権と引き換えで得たものが「働く意欲」なのかも知れません。
「働く意欲」・・・・本当に高い買物だと思います。