労働市場で新入社員が3年以内に退職する「3年3割」の傾向が続いています。
特に注目されるのは、Z世代と呼ばれる若者たちの動向です。
この世代の仕事への意識や企業との不一致について、具体的なデータとともに考察します。
3年3割の現状
厚生労働省の調査によると、2021年入社の社員を対象とした最新の調査では、34.9%が3年以内に退職しており、過去15年で最も高い数値となっています。
この世代はいわゆるZ世代と呼ばれ、1990年代半ば以降に生まれた世代です。
東日本大震災やコロナ禍を経験し、経済の低迷する「失われた30年」を生き抜く親の姿を見て育っています。
3年以内に辞めたZ世代の入社及び退職理由ベスト3
【入社理由】
1位 会社のブランド・成長性 – 24.2%
2位 キャリア・個人成長 – 23.1%
3位 安定性 – 16.3%
【退職理由】
1位 キャリア・個人成長 – 31.7%
2位 仕事へのやりがい – 20.2%
3位 人間関係・社風 – 20.0%
出典:ダイヤモンド・オンライン
Z世代の仕事への意識
入社理由から見えるZ世代
多くのZ世代は、有名企業や急成長中の企業に魅力を感じています。
自分のスキルや知識を磨き、キャリアを築くことに強い関心を持ち、成長の機会が豊富な職場を求めています。
安定した職場環境を重視し、将来の経済的な安定性を求める傾向があります。
退職理由から見えるZ世代
入社時に期待していた成長機会が提供されず、不満を感じることが多いよう思われます。
自分の成長に対する強い意欲が満たされない状況です。
そのため、仕事に対する意欲や情熱が感じられず、モチベーションが低下しています。
自分が社会に貢献していると感じていないのかも知れません。
職場の人間関係や企業文化が合わず、ストレスを感じることが多く、チームワークや職場の雰囲気に不満があるかもしれません。
3年3割のZ世代へ思うこと
退職理由には、入社理由1位の「会社のブランドや成長性」に不満を持って辞めるZ世代は少なく、また上場する大企業を辞めるケースが目立ちます。
上場する大企業では、最初に下積みの期間があることが一般的です。
例えば、初めは現場部門に配属され、数年のキャリアを積んだ後、企画や管理部門へとキャリアアップするのが一般的でしょう。
小さなタスクでも丁寧にこなすことで、周囲の信頼を得ることができ、将来的に大きな仕事をするための基礎となります。
仕事のキャリアを積むことも重要ですが、その前に社会人としての経験を積むことも重要です。
それらを踏まえれば、大企業を3年以内に見切りをつけるのは、時期尚早と感じさせます。
キャリアや個人の成長を重視するZ世代と、企業内で現実を知る既存社員との共存は難しいのかもしれません。