政府は、企業に対してテレワークを推進し、出勤者数の7割削減を目指すとしています。
感染拡大をうけ、多くの企業がテレワークの導入や出勤者数の削減を始めている中、一部の企業では、正社員にはテレワークが認められ、非正規社員にはテレワークを認めないといった差別的対応が行われています。
SNS上では、テレワークで差別することは「命」の差別であり、怒りを覚えるといった意見も呟かれています。
テレワークを感染リスクの観点でみれば、使用者は正規・非正規に関わらず、安全配慮義務を負っており、緊急事態宣言下で、不要不急の仕事のために非正規社員を出勤させ、高い感染リスクに晒すことは安全配慮義務に反するものと考えられます。
そもそも、非正規社員に対する不合理な待遇差や差別的取り扱いは禁止されており、正規・非正規の差別は法律で明確に禁じられています。
中には、テレワークを求めたら契約を打ち切られた非正規社員もおり、差別は深刻なものとなっています。
正規と非正規の違いだけでなく、テレワークは正社員であっても問題が垣間見られます。
「テレワークへ移行しようとしたら上司に妨害された」
「テレワークをすることで上司から嫌がらせを受けた」
等、正社員においても様々な問題が露呈しています。
コロナ禍においては、「テレワークを有効に活用しましょう」という厚労省のパンフレットでは、労働者のメリットを4つ列記しています。
①通勤の負担がなくなった
②外出しなくて済むようになった
③家族と過ごす時間や趣味の時間が増えた
④集中力が増して、仕事の効率が良くなった
①②はメリットと言えますが、③④は疑問です。
家族がいなければ孤独の時間が増えることでしょう。
趣味があればいいですが、仕事自体が趣味のようなサラリーマンも多いことでしょう。
自己管理の働き方では、集中力が増すのは本人次第であり、仕事の効率が良くなるとは限りません。
企業によっては、テレワークが嵌り業績が伸びる企業もあることでしょう。
ただ、それは一部の企業のように思えます。
なぜなら、第一波や第二波といった感染拡大時期を乗り越えた後には、多くの会社員がテレワークすることなく出社しています。
メリット以上に、デメリットも多いからでしょう。
政府は、企業に対し「出勤者数の7割削減」という本当に厳しい制約を求めています。
日本医師会の中川俊男会長は、
「国会議員に範をいただきたい。4人以下の会食なら感染しないと思うなら間違いです」
と緊急事態宣言下での国会議員の会食の全面自粛を訴えています。
こんなこともできない政治家に、「出勤者数の7割削減」等と簡単に言って欲しくはありません。
テレワークは、政府が思い描くメリットばかりではなく、多くの課題が山積しており、いわば「企業努力」の賜物です。
政治家も感染防止に対する「努力の姿勢」を少しでも見せて欲しいものです。