2019年11月5日
大学入学共通テストに記述式の問題が導入されることについて野党側のヒアリングが行われ、出席した高校生や教員などから、公平な採点が担保できないおそれがあるなどとして、中止や延期を求める意見が相次ぎました。
来年度から始まる大学入学共通テストでは、国語と数学に記述式の問題が導入されます。
これについて、立憲民主党などは5日国会内で会合を開き、現役の高校生や教育関係者からヒアリングを行いました。
この中で、高校生からは「自己採点などをどうすればいいか分からず不安だ」とか、「入試の公平、公正さが失われるのではないか」などといった声が上がりました。
また、高校の教員などからは「記述式の試験では判断に迷う解答が出てくることが予想され、アルバイトなどが一度に大量に採点すると不公平が生じるおそれがある」などといった指摘が出されました。
そして、公平な採点が担保できないおそれがあるうえ、試験後の自己採点も困難になり、志望校に願書を出す際に支障が出るなどとして、記述式の問題の中止や延期を求める意見が相次ぎました。
出典:NHK NEWSWEB 大学入学共通テスト 記述式問題 中止や延期求める意見相次ぐ
大学入学共通テストで記述式の問題が本当に必要なのでしょうか?
大学教育の基礎力として知識・技能や思考力・判断力・表現力を問うと、考えているようですが、国公立大学の一般入試であれば一次選考の段階です。
「大学入学共通テスト」の意義とは何か?考える必要があります。
文部科学省では「全国学力・学習状況調査」が行われています。
対象は、全国の小学6年生と中学3年生を対象に、2019年度は小中合わせて200万人以上を対象に実施されています。
今年の7月末にも、都道府県別の平均正答率がマスコミでも報道され、「秋田県」「石川県」「福井県」等が例年と同様上位を占める結果となっています。
都道府県、つまり居住する場所によって学力差が生じています。
小中学校の義務教育ですら地域による学力差があり、高校に進学すれば通う高校により学力差は大きくなる傾向にあるものと思われます。
大学受験対策で民間の模擬試験を受ければ、ある程度の傾向を把握できるかもしれません。
その目的において、記述式の問題は適さないものと思われます。
現状のセンター試験においても、センター試験出願時に「結果通知あり」と出願していなければ正式な点数を知ることはできません。(成績通知を希望する場合は800円必要)
受験生に正式な結果が開示されるのは、4月中旬から4月下旬です。
この時期の開示では、受験生にとっては過去の振り返りでしかありません。
試験結果が分からない以上、自己採点ができない記述式の問題は適さないと言えるでしょう。
そもそも、思考力・判断力・表現力を記述式の問題で評価できるか疑問です。
最近、SNS上話題となった算数(小2)の記述問題です。
Q:「ゆきこさんの家からえきまで30分かかります。8時50分にえきにつくには、家を何時何分に出るとよいですか? りゆうもかんがえましょう」
A:「家を8時15分に出るとよい。8時20だとぎりぎりであせるとあぶないから」
この回答は、残念ながらマルはもらえませんでした。
SNSで称賛されるものの、小学校の先生は「間違い」と判断されています。
記述式問題の正答とは何か?考えさせられます。
ある意味、個性ある解答も評価するのであれば、記述式の問題は有効かと思われますが、正答ありきの記述式問題に何の意味があるのでしょうか?
正答がある問題に、思考力・判断力・表現力は必要なく思えます。
大学やその学部によっては、それら能力を重視するところもあるでしょう。
仮に記述式問題を出題するのであれば、2次試験等で出題すればよく、解答の正誤はその大学で判断するべきです。
進学する大学が判断するのであれば、受験生も納得することでしょう。
アルバイトが正誤を判断する記述式の問題では、受験生も納得できないものと思われます。
このような正論を並べても、「文教科学委員会」での質疑を見る限り、文部科学省(大臣)は「聞き耳」を持たないよう伺えます。
政治を動かすのは、やはり失言や利権絡みのスキャンダルなのでしょうか・・・・