2019年12月10日
日本の大企業がイノベーション=技術革新を起こすには、何が必要かを考えるシンポジウムが9日、東京で開かれ、参加者からは社員に挑戦を促すとともに、失敗を許容する企業文化に変えるべきだという意見が相次ぎました。
このシンポジウムは、公益財団法人の「日本生産性本部」が開いたもので、大手電機メーカーやIT企業の経営者のほか投資会社の代表や大学教授などがパネリストとして参加しました。
日本生産性本部が今月公表した企業へのアンケート調査では、大企業の80%以上が「日本企業はイノベーションを起こしにくい」と答えていて、シンポジウムではイノベーションを阻む原因がどこにあるのかなどを議論しました。
パネリストからは「社員が新しい事業に挑戦して例え失敗してもトップを含めた経営幹部や管理職がそれを許容する企業文化に変えるべきだ」とか「安易に外部の人材に頼るのではなく、社内の人材を育成し、能力を引き出すことが重要だ」といった意見が出ていました。
日本生産性本部イノベーション会議の大田弘子座長は「デジタル化が進む中、企業はビジネスモデルの転換を迫られており、イノベーションを起こせるかどうかは時間との勝負だ。大企業の中にはイノベーションを起こすための先進的な取り組みを始めたところもあり、すでに議論ではなく実践の段階に入っている」と話しています。
出典:NHK NEWSWEB「失敗を許容する企業文化に」大企業の技術革新を考えるシンポ
大企業の80%以上が、
と回答しています。
企業にもよりますが、日々の業務に追われる社員から、新たな発想が生まれるのは難しいことでしょう。
毎月決まった額の給与が振り込まれる中、野心を持って新たな事業にチャレンジする社員も少ないことと思われます。
企業であれば、企画段階で厳しい精査を受け、多くの案件が沈んでいきます。
厳しい精査がある時点で、自由な発想はなくなります。
企業では、「ニーズ」があって「利益」が見込めることが求められます。
新たに生み出すものの「ニーズ」等、世に出してみなければ、わからないものも多いことでしょう。
これらは企業が生き抜く為に、守り抜いてきたことです。
「枠」とは、物事をふちどるような定まった型であり、企業がこれまで守り抜いてきた既存概念です。
外部のベンチャー等が、自由な発想で行動できるのは、企業の「枠」という既存概念がないからだと言えます。
失敗を許容する企業とは、
その企業が持っている「枠」という既存概念を、まず捨てなければ実現することは困難と言っていいでしょう。
大企業では「働き方改革」が進む中、「業務の効率化」が求められています。
「イノベーション」とは、「業務の効率化」と対極にあるものと思われ、今後より実現が困難なものとなるでしょう。