2018年における会社の平均寿命は23.9年
公開日付:2019.01.31
2018年に倒産した企業の平均寿命は23.9年で、前年より0.4年伸びた。産業別の格差は拡大し、最も平均寿命が長かったのは製造業の33.9年(前年32.9年)。一方、短命だったのは金融・保険業の11.7年(同16.4年)と、平均で22.2年の開きがあった。
出典:TSR東京商工リサーチ 2018年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査
2017年の同調査においても23.5年と、数値的には落ち着きを見せています。
高校や大学を卒業し65歳の定年まで働くとすると、43~47年の期間があります
会社の平均寿命からみれば、終身雇用がいかに難しいか推察することができます。
終身雇用は、今や公務員や大企業にしか当てはまらない現状かもしれません。
大企業だからといって安心はできません
倒産には至らないものの、大規模なリストラが横行しています。
会社の寿命が短命との調査結果だった「金融・保険業(会社寿命11.7年)」について、現状を見てみましょう。
メガバンクを含む大手銀行から地方銀行に至るまで、店舗縮小や早期退職を含むリストラ等、今後対策が本格化されることを予見するニュースが世間を賑わせています。
2017年11月13日
東証1部上場の「みずほフィナンシャルグループ」は、抜本的構造改革の一環として人員削減および拠点閉鎖の実施を発表しました。人員削減では、テクノロジーの活用による業務量の削減やフロントへの人員配置強化などで、2026年度末までに現在の全従業員7万9000名の約24%に相当する約1万9000名を削減する方針です。
出典:不景気.com みずほFGが1万9000名を削減へ、100拠点閉鎖も
大手メガバンクである「みずほフィナンシャルグループ」においてこのような状況であれば、程度の違いはあれ業界全体が同様の状況に陥っているものと推測されます。
昭和の時代では、考えられなかったことが起こっています。
終身雇用という昭和の幻想
昭和の時代は、右肩上がりの経済成長を遂げてきました。
平成のはじめ、この右肩上がりの経済成長が終焉を迎えます。
所謂「バブル崩壊」です。
内閣府によるとバブル崩壊期間とは、平成3年3月~平成5年10月までの景気後退期を刺します。
この期を境に「就職氷河期」と呼ばれる就職難の時代が、平成16年頃まで続きます。
平成の経済は、「失われた20年」「失われた30年」とも呼ばれる経済低迷期です。
令和に入った現在においても、「景気は徐々に回復」と言われ続けていますが、実感のない景気状況が続いています。
50歳以降を高齢サラリーマンと呼ぶとすれば、就職氷河期の頃は20代、30代でバリバリと働いていたことでしょう。
その間、若い世代は就職難で苦しんでいました。
この世代の苦しみを、高齢サラリーマンは理解できないことでしょう。
リストラ候補者のターゲットは、今や高齢サラリーマンに向けられています。
リストラを嘆かれている方もいることでしょう。
その苦悩は、就職氷河期を経験し世間の厳しさを知る世代からみれば、当然の報いと思われているかも知れません。
転職経験のない高齢サラリーマンは、ある意味会社という閉鎖的な組織に守られ、社会の厳しい現実を知らずに過ごしてきました。
客観的にみれば、平成前半の就職氷河期に苦しむ20代、平成後半の大リストラ時代に苦しむ50代、経済成長のない失われた30年と考えれば、先に苦しむ者がいれば、後に苦しむ者がいるのは必然かもしれません。
経済の低迷は変わらないまま、時代が流れているのだから・・・・
終身雇用とは、転職経験がなく最初に入社した会社に勤め続けている人です。
2018年10月19日
転職経験がない人の割合(男性)
出典:シニアガイド 定年まで同じ会社で働き続ける男性は32%、女性は6.5%
現状を見る限り終身雇用は、男性の場合3割程に過ぎません。
また注目すべきは、20代での雇用定着が7割程度ということです。
経営トップの要人が、相次いで「終身雇用を守れない」と発言し、マスコミが反応をみせていますが、現状をしっかり捉えていれば報道の仕方も変わるものと思われます。
終身雇用があたり前だったのは昭和の話であり、令和となった今では二世代前の話です。
高齢サラリーマンは「終身雇用」という呪縛に捉われ、新たな一歩を踏み出せない状況にあります。
今こそ、個々人が仕事のしかたや定年の概念を見直す時だと思います。
「終身雇用」とは、昭和の幻想なのだから・・・・