定年退職者を襲う「うつ病」は、「定年前」から発症するケースと「定年後」から発症するケースが考えられます。
なぜ、定年前後でうつ病が発症するのでしょう?
一緒に考えてみましょう。
定年前に発症する「うつ病」
一般的に「定年」は喜ばしいものと思われます。
もう働かなくてもいいのです。
会社に行かず自由気ままに過ごすことができます。
第2の人生のスタートとも言える「定年」ですが、会社一筋に仕事をしてきた方にとっては、会社や仕事のない人生とは、想像のつかない不安なものかもしれません。
定年前には様々な不安があることでしょう。
一例ですが、
「妻と二人きり、毎日何を話せばいいのだろう」
「同居の家族は、働かない自分をどんな目でみるのだろう」
「日曜だけでも邪魔者扱い、それが毎日では居場所がない」
「年金だけで暮らしていけるのだろうか」
「肩書を失った自分は、社会的に不必要な人間?」
・・・・
そんな心理的な不安から「うつ病」になると言われています。
会社に尽くすのは50代で卒業しましょう。
少なくても60歳から65歳までの5年間は、今後の人生を楽しく過ごす為の方策を考え、65歳の定年を機に実現する楽しみを持つべきです。
会社の役員等のポストのある方は難しいかもしれませんが、できれば50代から準備するのが望ましいことと思われます。
今後、70歳まで働くという選択肢もあるかもしれません。
これは単に5年間延命したに過ぎません。
サラリーマンはいずれ会社を辞めるのです。
早く辞めたくなるような人生設計を描くことが重要と思われます。
定年後に発症する「うつ病」
定年前に考えていた状況は、実際に定年を迎えると取越苦労で終わるケースが多いものです。
うまく適応できればいいのですが、定年前の想定が現実になってしまうケースもあります。
例えば、
「稼ぎ」がなくなった夫に対する妻の地位は、一般的に今まで家庭を牛耳ってきた妻の方が優位な状況となるでしょう。
亭主関白だった家庭では、逆転現象も珍しくありません。
子供がいても、子供は子供で忙しく定年した父親に関心をもつことは希でしょう。
ある意味、家庭内で孤立する傾向にあります。
仕事一辺倒で過ごしてきた方に、仕事以外で心を許せる友人は少ないことと思われます。
誰からも共感されることのない孤独と戦わなければなりません。
こんな状況が死ぬまで続くと思えば、確かに「うつ病」になってしまいます。
定年前後の「うつ病」対策
定年前のうつ病は、「定年」という人生一度きりのイベントを迎えるにあたり、誰もが少なからず不安になるものです。
問題なのは定年後のケースです。
家族内の立場の修復や、共感できる友人を定年後から作り出すのは困難なことでしょう。
遅くとも50代から自分の「居場所をつくる」ことを意識した行動をとることが必要です。
家族仲は別にして、会社以外の友人を持つことをお勧めします。
これは、アーリーリタイアやセミリタイアする場合も同様と思われます。
会社には、人生を共感できる友人など存在しないと思うべきです。(いるかもしれませんが・・・)
部下、上司、同僚等の垣根のない世界では、関係性を維持するのは困難なことです。