【9060問題】92歳の母に頼まれ殺害した61歳の息子!FPが生活破綻を検証する

8050問題

東京都内の自宅で、寝たきりの状態だった当時92歳の母親を殺害した罪に問われている男の裁判で、検察側は16日、男に懲役8年を求刑しました。

前原英邦被告(61)は2022年8月、東京・葛飾区の自宅で、寝たきりの状態だった当時92歳の母親・房子さんの首をひもで絞め殺害した罪に問われ、初公判では「母から頼まれた」と述べ、起訴内容を否認しています。

16日に東京地裁で行われた裁判で、検察側は「経済的破綻から自殺を決意した前原被告が母親と無理心中を図った」「母親は末期の認知症患者で、殺害を依頼できる状況になかった」として前原被告に懲役8年を求刑しました。

一方、弁護側は「殺害を依頼されたと信じていなければ、大切な母親を殺害するはずがない」「エピソードは具体的で、前原被告の話は信用できる」と述べ、殺人の罪より法定刑の軽い嘱託殺人の罪が成立するとして、執行猶予付きの刑を求めました。

判決は、来月9日に言い渡される予定です。

出典:日テレNEWS「母から頼まれた」介護の末に寝たきりの92歳の母親を“殺害”息子(61)に懲役8年求刑

過酷な要介護5の自宅介護

フランス料理のシェフをしていた前原被告。

前原被告が40代後半の頃、母親に「直腸がん」が見つかり、人工肛門を装着し介護が必要となったのは2009年頃でした。

「フルタイムでの勤務ができなくなった」との表現から、仕事と介護を両立していたのでしょう。

それから10年後の2019年に、母親が脳梗塞で入院し「要介護5」の認定を受けます。

前原被告は、自宅での介護に専念するため仕事を辞めました。

寝たきりの介護に加え、

・カテーテルの廃棄
・たんの吸引
・酸素の管理
・点滴の抜針

等の対応が必要でした。

更に認知症も加わり、訪問診療や訪問介護を受けるようにもなります。

前原被告の一日は、朝の5時前に起床し、母の朝食の準備から始まります。

朝食は血糖値の測定やインスリンの投与を含め、およそ45分~1時間かかります。

前原被告は裁判で、

「朝昼晩の食事の準備に介護、一日のほとんどを母親のために使っていた」

と語っています。

 

前原被告の家計状況

収入は、母の年金や保険の還付金等で月18万円程。

自宅は持ち家で、一見やり繰りできそうにも思えます。

前原さんは、銀行等からおよそ500万円、知人からおよそ300万円の借金があり、生活は困窮していました。

2019年頃、

持ち家を売却し、その家を借家として住む契約を結び、一時的に2200万円の現金を手にします。

これで何とかなりそうにも思われますが、そのお金を借金返済などに充てましたが、3年で底を尽き、また新たに借金を抱えてしまいます。

この頃の支出状況は、

家賃17万5千円、消耗品などの支払いも含めた携帯代が6万円、介護費5万円、毎月の借金返済が10万円と報道にあります。

合計すると月40万円程の支出となり、月18万の収入では、毎月22万円程の赤字となります。

「生活費が足りなかった」

母親を殺害した当時の預金残高は4015円だったといいます。

家計面での問題と検証

「お母さんに何か言いたいことは?」

「すみません…。もしあの時に戻れるのであれば、もう一度やり直せたらと思う。母と一緒に生活していき、あんな形で終わらせないようにしたいです」

何か前原さんにも気にかかることがあるのでしょう。

2009年~2019年までは、母は直腸がんであり、人工肛門を装着するも要介護5の状況ではありません。

持ち家で月18万円あれば、十分暮らすことができるでしょう。

気掛かりなのが合計800万円の借金です。

使途は明らかになっていませんが、生活費ではないよう思われます。

2019年に持ち家を売却しています。

気持ちとして実家に住み続けたいのは理解できますが、2200万円を手にするも、借家として家賃17万5千円の契約は無謀かと思われます。

2200万円を手にし、月に18万円の収入があれば、仮に本人の言う通り借金の支払いを含め月40万円の支出とすれば、単純計算で100ヵ月(8年4ヶ月)暮らせます。

わずか3年で破綻するよう思えません。

前原被告には、何か隠された支出があるよう推測されます。

要介護5の自宅介護は、本当に大変なことだと思われます。

ただ、生活破綻の理由が、母との生活や介護費等ではなく、自ら招いた不必要な支出であれば、情状酌量の余地はないよう思われます。

*この記事は、2024年12月13日「羽鳥慎一モーニングショー」で報道された内容をもとに作成したものです。