まず、検察官の職務とは
裁判に「かける」か「かけない」か、言い換えれば「起訴する」か「起訴しない」か、日本では検察官だけが起訴することができます。
事件が発生すると、
まずは警察が動き、容疑者を捜し逮捕したり証拠を集めたりします。
検察官は、容疑者が本当に犯人なのかどうか確認し、起訴するかどうかを決めます。
警察と協力して自らも捜査し、事件の真実を明らかにします。
刑事事件において、検察官が起訴をすれば99.9%は有罪になると言われています。
2016年TBS系日曜劇場では、「99.9~刑事専門弁護士~」というドラマにもなるほどです。
不起訴とは
検察官が起訴することなく裁判が行われません。
不起訴理由には、大きく分けて3つあります。
①「嫌疑なし」~犯罪の嫌疑がかかったので捜査したがそのような嫌疑はなかったということです。
②「嫌疑不十分」~罪を犯したという疑いは残っているが、これを証明するための証拠が十分ではないので、起訴しないということです。
③「起訴猶予」~罪を犯しており証明できるが、「軽い犯罪」であるとか、被害者と「示談」ができて被害者も許してくれた、「社会的制裁」を既に受けている、「深く反省」しているなどの理由で起訴しないことです。
特に③は、検察官の裁量に委ねられています。
不起訴は無罪なのか?
不起訴処分を受けた人は裁判を受けていないので、無罪判決を受けたわけでも、有罪判決を受けたわけでもありません。
厳密に言えば「不起訴」=「無罪」ではありませんが、不起訴処分になった後は、通常において捜査されることはありません。
また、裁判を受けていないので「前科」がつくこともありません。
今月8日から衆議院内閣委員会で、検察官の定年を段階的に65歳に引き上げ、内閣が認めれば定年延長を最長で3年まで可能にする、検察庁法改正案が審議されています。
検察官の定年延長をめぐっては、政府が今年1月、これまでの法解釈を変更し、東京高等検察庁の黒川検事長の定年を延長し、野党や日弁連などから批判が相次いでいました。
検察庁法改正案を簡単に説明すれば、
と言うことです。
検察は、例えば「ロッキード事件」や近々で言えば「カジノ汚職」等、大臣や政治家も起訴することができます。
内閣の裁量で、定年を自由に操作できるというのは極めて大きな問題です。
政府は、黒川検事長の定年延長に関して「国家公務員法の規定が適用される」と主張してきました。
従来の政府の見解は、検察官も国家公務員ですが、「国家公務員法」と「検察庁法」の規定が分かれている以上、国家公務員法の規定が検察庁法に規定されないとしてきました。
従来の見解とは矛盾した「国家公務員法の規定が適用される」という政府の主張。
法律の条文をどう解釈するかは、政府にとっては極めて重要なことであり、一夜にして法令の解釈を書類を残さずに「口頭で」決済したとの釈明に国会でも問題となっていました。
検察官は、行政組織の一員ですが、刑事訴追の権限を持っています。
社会の公正を保つ立場として、政権とは距離をとり中立性が求められます。
立憲民主党の安住国会対策委員長は11日午後、国会内で自民党の森山国会対策委員長と会談し撤回するよう求め、修正案を提出する考えを示しました。
森山氏は記者団に対し、
「今国会でやることが大事で、今週中に参議院に送付したい」と述べ、撤回には応じず、今週中に採決し、衆議院通過を目指す考えを示しています。
ツイッター上では、9日夜から10日にかけて、俳優や演出家、漫画家などの著名人による抗議の投稿が相次ぎ、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた投稿は10日午後3時半の時点で380万件を超えるなど、広がりを見せています。
その後、11日にはさすがにペースは収まってきたものの、累計ツイート数は3日間で500万件を超えるほどの異例の広まりを見せました。
「Twitterデモ」は、国民にとって実際に大きな力となり得るのか?
今週末にも結果が見られるかもしれません。