「転勤猶予カード」という新たな企業人事の取り組み

独り言

2019年8月1日

「転勤猶予カード」を導入したのは、石油元売り最大手のJXTGエネルギーです。ENEOSのブランドで国内1万3000か所のガソリンスタンドを展開。売り上げは9兆円、社員は9000人余りの大企業です。

全国の主要都市に支店があるほか、ガソリンなどを製造する製油所などを14か所に抱え、原油調達のための海外拠点もあります。

社員は転勤を繰り返しながらキャリアアップするのが、まさに「王道」でした。

「恋人ができたから」でもいい

このJXTGエネルギーがこの7月、新たな人事制度として取り入れたのが「転勤猶予カード」。

会社人生で、これまで避けられなかった転勤を、最大3年間、猶予してもらえる。つまり、待ってくれるというのです。実際に紙の「カード」があるわけではありませんが、社員が会社に対して切れるカードという意味で、こういう名前になっています。

出典:NHK NEWSWEB 「転勤猶予カード」って、どう思う?

サラリーマンにとって「転勤」は人事命令であり絶対的なものでした。

マイホームを建て、住むことなく転勤になった方もいるでしょう。

親の介護があり、転勤を断り退職された方もいるでしょう。

「恋人ができたから」等、全くもって理由として認められませんでした。

 

転勤は、企業運営上及び社員のキャリアアップの観点から必要なものとされています。

妻や子供等、家庭に与える影響は大きく、単身赴任を選択するケースも見られます。

家庭よりも仕事を優先した生活が求められてきました。

「転勤猶予カード」は、一度しか使えませんが原則会社側が受け入れてくれます。

あくまでも最大3年間の猶予ですが、転勤を先送りにすることで「時間」が得られる点はメリットある制度と思われます。

事情によっては、どうしても転勤出来ない場合も考えられ、その場合は猶予期間中に転職先を探すこともできます。

記事の中で、AIG損害保険は、転勤を望まない社員に対し原則、転勤させない方針を打ち出し、転勤を切っ掛けに離職を防ぐことを試みています。

「働き方改革」は単に労働時間の短縮だけではなく、ある意味「社員ファースト」と言う観点で捉える企業が出始めてきています。