2020年8月9日
新型コロナウイルスの感染が広がる中、民間のコンサルタント会社が国会に対応する業務を担う国家公務員に聞いたところ、80%余りが議員への説明がオンラインなどに移行していないと回答しました。調査を行った会社は、感染予防などのためにも、国は率先して業務のオンライン化を進めるべきだとしています。
この調査は、働き方の調査などを行う東京のコンサルタント会社「ワーク・ライフバランス」が、ことし6月から7月にかけてインターネット上で行い、国家公務員480人が回答しました。
それによりますと、ことし3月から5月にかけて最も忙しかった月の実際の残業時間が100時間を超えたと回答したのは176人、率にして36.7%でした。
調査に回答した人のうち、382人が国会に対応する業務を担っていて「議員への説明が、電話やオンラインに移行したか」と尋ねたところ、83%が「そうは思わない」と回答しました。
回答の中では「基本的にテレワークだったが議員へのレクのためだけに出勤せざるを得なかった」という声や「接続環境の悪さのせいか、音声が途切れるなどのトラブルも多く、できるだけ対面でと気をつかう傾向がある」などという意見もありました。
「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長は「省庁で感染者が相次いだ場合に業務のオンライン化ができていなければ支障が出てしまうおそれがある。感染予防などのためにも国は率先してオンライン化を進めるべきだ」と話しています。
出典:NHK NEWSWEB 国会議員への説明「オンライン化進まず」国家公務員に調査
政府は企業に対し、社員のテレワーク率を70%にすることや、時差出勤の実施、大人数の会食は控えるなど感染拡大防止への一層の協力を求めています。
現時点における国会議員の平均年齢は、衆議院も参議院も差がなく、およそ57歳です。
発言力のある大物議員となれば60代、70代の方々でしょう。
国会議員は、衆議院が465人、参議院が248人と公職選挙法に規定されています。衆参合わせて713名です。
平均年齢が約57歳、713名の企業と考えれば、オンライン化は難しいのかもしれません。
歴史的な緊急事態であるコロナ禍にあっても、変革の意識が見られません。
企業に対しテレワーク率70%と言うのであれば、呼び掛ける立場の政治家は率先してオンライン化に取り組むべきでしょう。
「庶民感覚がない」と言えば、主に金銭面の感覚がない政治家を意味してきましたが、今後はオンライン化に追従できない点も加味すべきでしょう。
例えば、
「USBメモリーを知らない」
等といったことも庶民感覚のない事例と言えます。
今年の4月、IT担当大臣で、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(はんこ議連)の会長も務める竹本直一氏の発言が物議を醸しました。
という記者の質問に対し、竹本大臣は
と答えています。
その後6月、はんこ議連の会長を辞めたことを明らかにしましたが、
「わたしは、デジタル化と『はんこ』の継続と利害が相反するときはデジタル化を進める。しかし、『はんこ議連』の会長を務めているから、デジタル化に反対だろうという印象でものを語る人が世の中にはおられるようなので会長を交代した」
と述べています。
誰もが、はんこ議連の会長を辞めるのではなく、IT担当大臣を辞めるべきだと思ったことでしょう。
未だIT担当大臣がこれではオンライン化は望めません。
IT担当大臣であれば専門家が相応しく思われますが、最低でも新たな意の「庶民感覚」を持つ方を任命すべきかと思われます。