英語の4技能は本当に必要か?英語の民間試験はAIの動向も踏まえ抜本的に見直すべき

独り言

2019年11月1日

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、大学入学共通テストに導入される英語の民間試験について、来年度からの実施を延期することを明らかにしたうえで、試験の仕組みを抜本的に見直し、5年後の令和6年度の実施に向けて、改めて検討する考えを示しました。

この中で萩生田大臣は「経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮などの準備状況が十分ではないため、来年度からの導入を見送り、延期する」と述べました。

そのうえで「全体的に不備があることは認めざるを得ず、延期して課題を検証し、どういった点を改善すれば、皆さんが限りなく平等に試験を受けられる環境を作れるかに注力したい。仕組みを含めて抜本的に見直しを図りたい」と述べました。

そして英語を「読む力」、「聞く力」に加えて、「話す力」、「書く力」のいわゆる「4技能」の測定について、「英語4技能評価は、グローバル人材の育成のため重要であり、令和6年度実施の大学入試に向けて、文部科学大臣の下に新たに検討会議を設置し、今後1年を目途に結論を出す」と述べ、試験の仕組みを抜本的に見直し、5年後の令和6年度の実施に向けて、改めて検討する考えを示しました。

さらに萩生田大臣は「来年度から開始する『大学入学共通テスト』の記述式問題の導入など大学入試改革については円滑な実施に向けて万全を期する」と述べました。

再来年1月に初めて行われる大学入学共通テストでは今のセンター試験と同じく、「読む力」と「聞く力」の2つの技能を測定する試験が行われることになっています。

一方で民間試験を活用する一部の大学を受験する場合は受験生が個別に試験を受ける必要があります。

出典:NHK NEWSWEB 萩生田文科相 英語試験 抜本的に見直し 5年後実施に向け検討

大学入学共通テストは、

2013年10月の「教育再生実行会議」で提言されたテストであり、
2016年3月の高大接続システム改革会議「最終報告書」を踏まえ、
2021年1月の実施を目指し検討されてきました。

その目的は、

大学入学希望者を対象に、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的とする。このため、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行うものとする。

従来のセンター試験との主な違いを簡単に示すと、

・数学や国語の一部で「記述式」の問題が出題される
・「知識」「技能」に加えて「思考力」「判断力」「表現力」が問われる
・試験時間が「国語」80分→100分、「数学IA」60分→70分へ
・英語は「文法」「長文読解」「リスニング」から「文法」が抜かれ民間資格検定試験導入

英語の民間試験導入は、「大学入試改革」の一環であり目玉施策とも言えます。

「英語4技能評価は、グローバル人材の育成のため重要」とされていますが、本当にそうなのでしょうか?

今後1年を目途に結論を出すことになっていますが、抜本的に見直すのであれば、この部分から見直すべきでしょう。

なぜなら、根本となる起案が2013年であることを考慮すべきです。

2013年であれば、AIの注目度も低かったことでしょう。

今年の8月、総務省と情報通信研究機構は2020年度から人工知能(AI)を使った同時通訳ソフトの開発を始めます。
日本語、英語、中国語など15言語に対応するもので、大阪万博が開かれる2025年の実用化をめざしており、20年度予算に20億円を盛り込んでいます。

英語だけでなく「言語の壁」はAIによって解消されるものと思われます。

5年後の令和6年度の実施に向けて英語試験は見直されますが、ほぼ同じ時期に総務省が関わる「同時通訳ソフト」が開発されます。

今後、大学入試において英語力を問うのはナンセンスな話になるかもしれません。

「時代遅れ」の大学入試にならないよう、抜本的な見直しを願いたく思います。