失業保険の受給者わずか3割以下!非正規雇用に厳しい日本の雇用制度

独り言

雇用調整助成金とは、不景気等により売り上げが減少した際、従業員を解雇せず、休業や教育訓練・出向といった形で雇用を維持した企業に対し、休業手当を助成する制度です。

コロナ禍において、助成率や上限額が引き上げられ、アルバイト等の非正規雇用を維持した際にも特例として、同助成が成されています。

この他、休業させられ休業手当が支払われない従業員に対して給付を行う休業支援金・給付金も、雇用調整助成金を補う形で導入されています。

これらは雇用を維持する目的に助成されるもので、倒産や廃業すれば助成されなくなります、

また、申請手続きが煩雑過ぎて利用しづらいといった批判も聞かれます。

雇用調整助成金は、失業の「予防」を目的とするものであり、実際に失業した歳は、雇用保険の失業給付(失業手当)となります。

この失業手当の受給者がここ20年、3割以下で推移しています。

~東日本大震災の影響を除く(総務省「労働力調査」)

理由は様々考えられます。

例えば、

・失業し直ぐに再就職すれば失業手当は申請しないことでしょう。
・失業が長引き、失業手当の受給期間が終了した方もいるでしょう。
・受給資格を満たさない者もいることでしょう。

雇用保険は、一定以上の労働契約条件で働いている人は加入義務があります。

31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている人に対して、事業者は届出を行わなければなりません。

パートタイムの方でも所定労働時間と日数を上回るのであれば、正社員と同じ保障を受けることが可能です。

逆を言えば、労働時間が週20時間未満、31日以上の雇用見込みがない労働契約の場合は雇用保険の対象外となります。

また、働いている事業所自体が雇用保険の適用の対象になっていないケースもあります。

給付条件は、

雇用保険を支払っている人が退職したときに限ります。

退職理由によりますが、1年(会社都合の場合は半年)以上、雇用保険を支払っていた方が対象です。

またハローワークに行き、求職申込をしていることが条件になります。

特にコロナ禍で問題となるのが、退職理由です

よく耳にするのが、非正規社員が明らかに「会社都合」で辞めさせられたにも関わらず離職票には「自己都合」とさせられる場合です。

明らかに解雇なのに、会社はなぜ自己都合退職として取り扱うのでしょうか?

その理由の一つが、会社が助成金を受けられなくなる可能性があるためです。

助成金制度には一定の間、解雇していない等の条件が含まれている場合があります。

自己都合での退職であれば1年以上、雇用保険を支払った実績が必要となります。

また、何よりも自己都合の場合は、受給開始までに制度上3ヶ月+1週間(会社都合の場合は1週間)の日数を要します。

また「受給額」や「受給期間」等、会社都合に比べ劣ります。

こらの条件を見れば、正規雇用者であれば多くの場合において雇用保険が適用され、セイフティネットの機能を果たしますが、非正規雇用者の場合は条件があり機能を果たせない場合が多々あります。

保険料の拠出に基づいて給付を行う社会保険と考えれば、非正規雇用に厳しいのは必然なのでしょうか?

政府は「自助」という言葉をよく使いますが、自助ではどうすることもできない社会制度上の問題です。

コロナ禍の今、本当に助けが必要なのは、明らかに困窮する非正規雇用者でしょう。