クマによる人的被害対策として、一定の条件を満たせば自治体判断で市街地での銃猟を可能にする改正鳥獣保護管理法が18日、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。施行日は公布から6カ月以内とし、クマの出没が増える秋までを目指す。
改正法は、人の日常生活圏に現れ、危害を及ぼす恐れが大きい動物を「危険鳥獣」と規定。政令で定め、ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシを想定する。市町村長は①住宅地などに侵入またはその恐れがある②危害防止が緊急に必要③銃猟以外では的確かつ迅速な捕獲が困難④住民らに弾丸が当たる恐れがない―と判断した場合、市町村職員やハンターに緊急銃猟をさせることができる。
緊急銃猟の際、市町村長は住民の安全確保のために通行制限や避難指示ができ、弾丸が建物に当たるといった損失が生じた場合は自治体が補償する規定も盛り込んだ。
環境省によると、クマによる人的被害は2023年度に過去最多の219人(うち死者6人)に上った。
出典:2025年4月18日 産経新聞
法改正による市街地での銃猟解禁
市街地でのクマの銃猟を認める改正鳥獣保護管理法が成立し、賛否の声が広がっています。
熊による人的被害の増加を受けた対応ではありますが、「危険鳥獣」という名称の変更や、被害防除・棲み分け対策への財政支援を求める声もあり、この法改正に対する意見はさまざまです。
特に、「クマが可哀そうだ」という意見は、環境保護団体や市民から多く寄せられ、環境省には「捕殺強化ではなく、共存できる制度を」という要望書が提出されています。
クマの保護を求める声は、法律施行後も続くとみられ、銃猟と保護のバランスをどう取るかが今後の焦点になりそうです。
住民の立場で異なる視点
クマの保護を訴える声は、市街地やクマの出没がほぼない地域から多く寄せられる一方、頻繁に目撃される地域では、「命の危険を感じる」「安全対策を優先すべき」といった声が強いです。
「距離による視点の違い」が影響しており、出没しない地域の住民はニュースや映像からクマを見ているため「野生動物は守るべき」という意識が強くなる一方、遭遇の可能性がある地域では「生活の安全」を優先する現実的な視点が重視されています。
記事にもあるとおり、
「クマによる人的被害は2023年度に過去最多の219人(うち死者6人)に上った。」
動物愛護の観点は理解できますが、人の命が奪われている以上、単に駆除されるクマが「可哀そう」という意見だけでは済まされないよう思われます。
砂川市のヒグマ駆除事件から見る教訓
2019年10月、北海道砂川市でヒグマ駆除を行ったハンターが銃所持許可を取り消される事件が発生しました。
市の要請を受けた駆除であったにもかかわらず、警察は「建物のある方向へ発砲した」として処分を決定。ハンターは裁判を起こし、裁判官の現地調査によって発砲の危険性が低いことが確認されましたが、この事件は駆除における責任の所在や運用の難しさを浮き彫りにしました。
砂川事件は、ハンターにとって本当に理不尽な事件となりました。
詳細は過去記事を見て下さい。
あれから6年弱の時が経過し、ようやく市街地での銃使用が法的に認められます。
安全対策と共存の在り方、現場の実情を踏まえた対応が今後の課題となるでしょう。