実は正社員を脅かす存在だった派遣社員!若い世代が知らない派遣社員の真実とは?

独り言

派遣社員という働き方が日本に登場した時、多くの人々はその存在に新しさと恐れを抱きました。

高い専門知識を備え、短期的な契約ながらも高報酬が魅力とされた派遣社員。

しかし、時代の流れと共にその姿は変わり、今日ではまるで別物になったよう思えます。

今回は、派遣社員の黎明期、転換期、そして現代の実情について掘り下げようと思います。

派遣社員の誕生は脅威と期待

1980年代、日本に派遣社員が登場した背景には、労働市場の効率化と専門人材の活用という企業のニーズがありました。

当時の派遣社員は、限られた業種に特化し、高いスキルを持ったスペシャリストが中心です。

雇用の柔軟性を求める企業と、高賃金を享受する派遣社員の間には、一種の需要と供給の均衡が成り立っていました。

一方で、正社員の雇用が圧迫されるという懸念も広まり、派遣社員は正社員の脅威とまで言われる時代がありました。

規制緩和と業種の多様化

派遣社員の姿を大きく変えた要因の一つは、労働者派遣法の改正により規制が緩和されたことです。

当初、派遣社員が働ける業種は非常に限定されており、通訳、翻訳、ソフトウェア開発などの高い専門性を必要とする分野が中心でした。

これにより、派遣社員はスペシャリストという印象が強く、企業にとっても一定の付加価値を提供する存在と見なされていました。

しかし、1999年の法改正で対象業務が拡大し、さらに2004年には製造業務にも派遣が解禁されます。

この規制緩和により、派遣社員の活躍の場は一気に広がり、オフィスワークや軽作業、製造業務といった幅広い業種で派遣社員が活用されるようになりました。

一方で、専門性を伴わない業務が増えることで、派遣社員全体の賃金が低下する傾向も見られるようになり、かつての「高賃金・専門職」というイメージが薄れていきます。

この変遷は、企業にとってはコスト削減の選択肢を広げる一方で、労働市場に新たな課題を生む要因にもなりました。

派遣社員のキャリア形成の機会が減少し、雇用の安定性が脅かされるといった問題が表面化しています。

現代の派遣社員のもつ労働観

現代の派遣社員は、かつての専門性や高賃金のイメージを失い、多くの場合、正社員の補完的な役割を担っています。

働き方改革などで労働環境の改善を目指す動きもありますが、雇用の安定性やキャリア形成に課題を抱える人も少なくありません。

また、パートやアルバイト等を含めた「非正規雇用」という一括りにされがちな立場から、正社員よりも劣る責任下での仕事と社会的な偏見も見られます。

派遣社員の原点回帰と今後への提言

派遣社員の変遷は、日本の労働市場の変化そのものを反映しています。

専門性の高いスペシャリストから、様々な役割を担う存在へと姿を変えた派遣社員ですが、その背景には、正社員と派遣社員を含む非正規社員との格差が大きく横たわっている現実もあります。

ボーナスや退職金がない中で安い給料で働かされる人々の存在や、就職氷河期の困難な時代に正社員の道を閉ざされ、非正規社員として働き続ける人々が多くいることは、無視できない社会問題です。

政府のお膝元である地方公共団体において、非正規職員の割合がは2割程と言われていますが、それ以上に存在する地方公共団体も多く見受けられます。

地方公共団体の非正規職員は、窓口業務や福祉関連業務など住民サービスの最前線で働くことが多いにもかかわらず、正規職員と比べて賃金や福利厚生の面で大きな格差が存在しています。

まず政府は、ここから考えるべきでしょう。

この現状を、一概に個人の価値観やライフスタイルの選択で片付けられるものではありません。

特に派遣社員については、その制度が導入された当初の理念を政府は再び思い出し、雇用形態としての待遇を見直す必要があるものと考えられます。