「道警ヤジ排除訴訟」控訴審が結審~薄れる4年前の状況を振り返る

道警ヤジ排除問題

4年前の参議院選挙で、当時の安倍総理にヤジを飛ばし、北海道警察に排除された男女が北海道に損害賠償を求めた裁判の控訴審が7日、結審しました。

この問題は、参議院選挙期間中の2019年7月、札幌市で街頭演説をしていた当時の安倍晋三総理に、大杉雅栄(まさえ)さんと桃井希生(きお)さんがヤジを飛ばし、警察官に排除されたものです。

大杉さんらは、警察官の行為は「表現の自由」の侵害だとして、道警を所管する北海道を相手取り、訴えを起こしました。

去年3月、札幌地裁は「警察官の行為は違法」だとして、北海道に合わせて88万円の賠償を命じ、道警側は控訴していました。

7日の控訴審では、原告らが「道警側の主張は根本的な部分において、一貫性と信ぴょう性を欠いている」と意見陳述し、結審しました。

判決は、6月22日に言い渡されます。

出典 2023年3月7日 HBC NEWS 北海道放送

国会の場では、演説中のヤジは「議場の華」とまで言われています。

街頭で、選挙演説中に国民がヤジを飛ばすのは認められないのでしょうか?

桃井希生さんが「増税反対!」と肉声でヤジを飛ばすと、警察官に取り囲まれます。

その後、2人の女性警察官はおよそ1時間に渡って付きまといました。

「なんか飲む?買うよ?お金あるから」

「きょうはもう諦めてくれ」

「コーラですか?ジンジャーエールですか?ウーロン茶ですか?」

「きょうはもう諦めて?」

子どもを「あやす」かの対応は、どう見ても警察官の対応ではありません。

排除するなら警察官は明確に理由を示すべきです。

現場の警察官も上からの指示に困惑したよう見受けられます。

ヤジも飛ばしていない年金政策への疑問を投げかけるプラカードを持参した老女も、同様に警察官に取り囲まれました。

以前、HBC北海道放送は、

「ヤジと民主主義」

~小さな自由が排除された先に~

というドキュメンタリー番組を放送しました。

地方局の制作番組なので全国放送されたかは定かでありませんが、多くの道民がその報道を視聴しており、道警の行き過ぎな排除行為を目にしています。

日本は、本当に民主主義の国なのかと目を疑う光景です。

当時の野党も「表現の自由を著しく損なう」と批判をしていました。

与党議員からも「首相に対する忖度が働いたのかもしれないが、明らかにやり過ぎ」と道警に対する批判的な意見もありました。

道公安委員長は道警に対し

・事実関係の確認
・道民に分かりやすい説明
・不偏不党かつ公平中立を旨に職務を遂行

と3点を指導しましたが、道警はその後において特に道民への説明は一切ありませんでした。

 

 

その後、やじは違法ではないのに、不当に体を拘束されたなどとして、当時対応した氏名不詳の警察官7人を、「特別公務員暴行陵虐」と「職権乱用」の疑いで、札幌地方検察庁に告訴しました。

地検は、これを不起訴処分にし裁判は行われることはありませんでした。

検察の判断は、政府や首相に対する「忖度」への疑念すら浮かぶものでした。

去年3月、札幌地裁は「警察官の行為は違法」だとして、北海道に合わせて88万円の賠償を命じています。

控訴は、検察・警察の面子なのでしょうか?

6月22日の判決が注目されます。