物流の混乱を招く国交省の決定!日本郵便の処分は本当に妥当か?

独り言

日本郵便が配達員に対して法令で定める飲酒の有無などを確認する点呼を適切に行っていなかった問題で、国土交通省は5日、運送事業の許可を取り消す処分を行う方針を会社側に通知しました。この処分によって日本郵便はトラックやバンタイプの車両、およそ2500台が配送に使用できなくなります。

日本郵便は、全国の郵便局3188か所のうち75%にあたる2391か所で、配達員に対して飲酒の有無などを確認する点呼を適切に行っていなかったことが、ことし4月、会社の調査で明らかになり、国土交通省は、貨物自動車運送事業法に基づく監査を進めてきました。

これまでの監査で、点呼をしていないにもかかわらず、点呼をしたという虚偽の記録を作成するなどの違反行為が確認されたということです。

日本郵便では、国から運送事業の許可を受けて、トラックやバンタイプの車両、およそ2500台を配送に使っていますが、国土交通省は5日、この許可を取り消す処分を行う方針を会社側に通知しました。今月18日に会社側の意見を聞く「聴聞」を開いたうえで、正式に処分を決める方針です。

この処分によっておよそ2500台の車両は配送に使用できなくなります。

日本郵便では、このほか、国に届け出を行っておよそ3万2000台の軽自動車タイプの車両も使っていて、国土交通省は引き続き監査を進め、車両停止などの行政処分を検討する方針です。

出典:2025年6月5日 NHK NEWSWEB

 

今回の処分に至る経緯

日本郵便では飲酒運転の事例が複数確認されており、特に4月だけで全国で20件程の酒気帯び運転が発覚しています。

国土交通省が4月に調査を開始した理由は、日本郵便が4月23日に総務省と国交省へ点呼不備の調査結果を報告したことがきっかけです。

この報告を受け、国交省は4月25日に特別監査を実施し、全国の郵便局で立ち入り検査を進めました。

国土交通省の処分は本当に妥当なのか

国土交通省が日本郵便に対して運送事業許可を取り消すという決定を下したことで、物流業界に大きな波紋が広がっています。

本来、輸送の安全確保は重要な課題であり、法令違反があれば厳正な対応が求められます。

しかし、今回の処分は実情を踏まえた適切な判断なのか疑問が残ります。

運転前後の点呼は、飲酒の有無や健康状態を確認する重要な手続きであり、これが徹底されなかったことは問題視されるべきです。

飲酒運転をした配達員は厳に罰せられるのは当然です。

しかし、日本郵便の約2500台もの車両を使用できなくするのは、あまりにも過剰な対応かと思われます。

特に現在、物流業界は深刻な人手不足に直面しており、他の運送業者がこの不足分を補填できるかは未知数です。

処分により日本郵便の配送網が大幅に縮小すれば、全国の利用者が影響を受けることは避けられません。

本当に罰せられるべきは誰か

この問題で最も責任を問われるべきは、現場ではなく経営側です。

点呼の未実施が発覚した際に、経営側が適切な対策を講じなかったことが問題の根本であるならば、真っ先に処分されるべきは経営層です。

国土交通省の判断は、現場の業務を維持しつつ改善を促すものではなく、単に「問題があったから事業許可を取り消す」という短絡的なものに見えます。

むしろ、経営陣に対する厳格な改善命令や、運行管理体制の見直しを義務づけることで、より実効性のある対策を取るべきかと思われます。

日本の物流は、すでに厳しい状況にあります。

業界全体が厳しい局面に立たされている中、日本郵便の車両が大幅に減少すれば、他の運送業者への負担が急増し、さらなる混乱が生じる可能性があります。

国土交通省は、杓子定規で処分を下すのではなく、業界全体の状況を考慮した上で、より現実的な解決策を模索すべきです。

本当に必要なのは、処分による混乱ではなく、業界全体の安全管理体制を改善するための具体策かと思われます。