愛知県蒲郡市で、同居する父親の遺体を放置したとして55歳の息子が逮捕されました。
警察によりますと、逮捕された蒲郡市新井町の無職、原伸明容疑者(55)は、85歳の父親の遺体を自宅に放置した死体遺棄の疑いが持たれています。
きのう、蒲郡市の職員から父親と連絡がつかないと警察に相談があり、自宅を訪ねた警察官がベッドで死亡している父親を見つけました。
原容疑者は父親と2人暮らしで、調べに対し「介護疲れで葬式を行うのが面倒だった」と容疑を認めているということです。
父親に目立った外傷はなく死後1週間ほどとみられ、警察は死因を調べています。
出典 2025年5月13日 CBCテレビ
介護疲れや経済的困窮が背景にある可能性が高く、いわゆる「8050問題」とも関連が深いものと思われます。
8050問題とは、80代の親と50代の未婚の子が同居し、子が無職または経済的に困窮している状況を指します。
親の年金が生活の支えとなっているケースが多く、親が亡くなることで収入源を失い、生活が立ち行かなくなることが問題視されています。
今回の事件では、原容疑者が「介護疲れで葬式を行うのが面倒だった」と供述しており、精神的・肉体的な負担が大きかったことがうかがえます。
介護は長期化すると、介護者の生活や精神状態に深刻な影響を及ぼすことがあり、社会的な支援の不足がこうした悲劇を生む要因の一つとなっています。
刑事罰としては、「死体遺棄罪」に該当することでしょう。
日本の刑法第190条では、死体、遺骨、遺髪を遺棄した者は「3年以下の懲役」に処されると規定されています。
遺棄とは、適切な埋葬や届け出をせずに遺体を放置する行為を指します。
この事件を通じて、介護者への支援の強化や、8050問題に対する社会的な対策の必要性が改めて浮き彫りになりました。
経済的困窮や孤立を防ぐための制度設計が求められる中、今後の政策動向にも注目が集まります。