高額療養費制度の上限引き上げを巡り、政府は患者の自己負担増加に伴う受診控えにより約1950億円の医療費削減が見込まれると発表しました。
長妻元厚生労働大臣
「今回『多数回該当』っていうのは上げないということになりましたが、それを除く長瀬効果っていうのはいくらとなりますか」福岡厚生労働大臣
「あくまでも過去のデータに基づいて機械的に試算した修正案における長瀬効果の見込み額といたしましては段階的な見直しが終了した時点で約1950億円と見込んでございます」「長瀬効果」とは、患者の自己負担が増加すると受診控えが起きて医療費が削減される効果のことです。
高額療養費制度を巡り、政府は患者の自己負担額を増やす方針を示していましたが、患者団体の反対などを受け長期に治療を受ける「多数回該当」の患者については負担増を取りやめる修正を示しています。
出典:テレ朝NEWS 高額療養費見直しで1950億の医療費削減見込み 政府
長瀬効果って何?
元厚労大臣の長妻氏と現福岡厚労大臣の間で、当たり前のように使われている「長瀬効果」
国民には聞きなれない言葉です。
長瀬効果をもう少し詳しく説明すると、
制度的な給付率の変更に伴い、患者負担が増加すると受診行動が変化し、医療費が減少するという経験則を指します。
具体的には、給付率が低下すると患者の受診日数が減少し、その結果、医療費の伸びが例年と比べて小さくなることが知られています。
この効果は、厚生労働省に戦前から伝わる経験則であり、医療費の管理において重要な要素とされています。
(厚労省資料より)
厚生労働省に戦前から伝わる経験則
「長瀬効果」の「長瀬」とは、当時厚生労働省の担当者であった長瀬氏が由来とされています。
長瀬氏は、医療費削減に関する試算や分析を行っていた人物であり、その研究が基となって「長瀬効果」という名称が付けられたようです。
長瀬氏の研究が行われたのは1935年頃と言われており、当時の医療費制度改革において重要な役割を果たしていました。
その後、長瀬氏の研究成果が厚生労働省の試算や政策に取り入れられ、現在でも「長瀬効果」として知られています。
厚労大臣の人命軽視発言
こんな戦前の古い考えを根拠に、人命軽視の政策を平然と語る厚労大臣に唖然とさせられます。
「長瀬効果」という古い考えが厚労省に定着しており、「長瀬効果」という言葉を使い、当たり前のように議論されてきたのでしょう。
国民から保険料を言わば強制徴収しておきながら、負担を引き上げて「受診控え」という考えは、仮に昭和では許されても、令和では絶対に許されない考え方です。
島根県の丸山知事は、
「引き上げを提案されたというだけでも、国家的殺人未遂。修正案でもひどい案で、憲法に違反していないのか疑われる。命が失われる事態が確実な制度を提案した責任はとらなければいけない」と、強い言葉で非難しています。