2019年11月25日
いわゆる「就職氷河期」世代に対する支援策を検討するため、政府は、ひきこもり経験がある人なども参加する新たな会議を設けることになりました。
いわゆる「就職氷河期」世代の就労を促進するため、政府は、非正規雇用で働く人や、ひきこもりの人などおよそ100万人を対象に支援を行うことにしていて、正規雇用で働く人を3年間で30万人増やすことを目指しています。
政府は、具体的な支援策を検討するため、経団連や日本商工会議所、連合のほか、ひきこもりの経験があり現在は支援活動に取り組んでいる人など、支援団体のメンバーも加わる新たな会議を設けることになりました。この会議を通じて、さまざまな視点から意見を募るととともに、先進的な取り組みや成功事例などを共有したい考えです。政府は、近く安倍総理大臣も出席して初めての会合を開くことにしています。
出典:NHK NEWSWEB 「就職氷河期」支援で新会議設置へ ひきこもり経験者も参加
政府の目標は、最終的には正規雇用で働く人を3年間で30万人増やすことです。
正規雇用、フルタイム労働を求める政策では、ひきこもりにはハードルが高く、尻込みすることでしょう。
ひきこもりの問題は、何も就職氷河期に限られたものではありません。
現に今、8050問題がクローズアップされており、就職氷河期ではない50代以降の「ひきこもり」の方も苦しんでいます。
就職氷河期の就労支援とひきこもりの問題は、本来は別々に議論されるべきです。
6030<7040<8050の順で、ひきこもりの問題は深刻化する傾向にあり、対応も困難を極めます。
ひきこもりは、親に依存することで成立しますが、親がいなくなれば成り立ちません
ひきこもりにとって親は、何よりも経済面において必要不可欠です。
6030、7040では、平均寿命や健康寿命から見て親は元気なケースが多いと言えます。
親の年齢が増すことで、
・年金生活の親が、ひきこもりを養うことが経済的に困難となり、自立を促すかもしれません。
・80代の親では、自ら働き収入を得ることは難しいことでしょう。
子は親の年齢が増すことで、
・「親がいなくなったらどうしよう」と悩むかもしれません。
例えば、親が60代で会社を退職した時、退職金や貯蓄等があれば子を養うのは容易に思うかもしれません。
盲点となるのは、ひきこもりの子に掛かる費用です。
仮に月5万円の費用が掛かるとすれば、10年で600万円、20年で1,200万円にも膨れ上げります。
公的年金だけでは、平均的な支出をすれば2,000万円不足すると言われています。
60代、70代では何とかなった経済状況も、子に掛かる費用は、じわりじわりと家計を脅かしていきます。
経済状況は個々の家庭で違いますが、ひきこもりの子は、経済的困窮の元凶が自分自身にあるとは思わないことでしょう。
8050問題は様々な悲劇をもたらします。
・子が社会を恨んでの無差別殺人等、第三者への危害
・親の死による子の死体遺棄事件
・親の死による子の餓死等
就職氷河期のひきこもりへの支援は、8050問題の予防としては効果があることでしょう。
社会的な繋がりや自立という観点では、就労は最も良い答なのかもしれません。
ただ、就労ありきの考えでは、親の死に危機感のない就職氷河期世代では、救えるのは少数と思われます。
やはり、ひきこもりの問題は、就職氷河期の就労支援とは別に検討が必要と思われます。