「終身雇用は守れない」という企業に「70歳雇用」を努力義務とする政府

社会情勢

未来投資会議とは

2019/6/5

政府は5日夕方に開いた未来投資会議(議長・安倍晋三首相)で2019年の成長戦略実行計画案を示した。人口減や高齢化を見据え、70歳までの就業機会確保など多様な就労形態を許容する雇用改革を盛り込んだ。地域経済の基盤となる交通・金融分野の経営統合を促す特例法制定も掲げた。

出典:日本経済新聞 70歳雇用で企業に努力義務 政府の成長戦略

未来投資会議とは、将来の経済成長に資する分野において官民が連携し、未来投資の拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図る目的で、首相自らが議長となり開催されます。

70歳までの雇用機会確保は企業経営において足枷にならないか?

経営トップの要人が相次いで、終身雇用について否定的な意見が述べられています。

経団連:中西会長

2019年5月7日

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は7日の定例会見で、終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と改めて持論を展開。「雇用維持のために事業を残すべきではない」と、経営者に対して新しいビジネスに注力するよう訴えた。

出典:朝日新聞デジタル 経団連・中西会長「終身雇用は制度疲労」改めて持論展開

トヨタ自動車:豊田社長

2019年5月14日

トヨタ自動車の豊田章男社長の終身雇用に関する発言が話題を呼んでいる。13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。

出典:日経ビジネス 「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか

言わずとも知れた、日本を代表する企業経営者の発言です。

特に、経団連の中西会長は、「未来投資会議」のメンバー(議員)です。

未来投資会議は、広範囲の分野で議論されているので、70歳までの雇用についての議論に直接関与しているか不明ですが、この会議メンバーからの意見は重たいものと思われます。

「高年齢者雇用安定法」が2013年4月に改正され、60歳の定年退職年齢が廃止されました。

企業には2025年までに、従業員の雇用を65歳まで確保する措置を導入することが、義務付けられています。

65歳定年制も2025年までは過渡期の状況です。

企業によっては準備段階のところもあるでしょう。

努力義務ではありますが、この段階で「70歳雇用」を企業に課すのは酷なことと思われます。

人手不足の企業であれば、政府に言われなくても70歳雇用を既に行っています。

例えば、タクシー業界では70歳を超える運転手さんをよく見かけます。

企業を一律視しての政策は、どうなのでしょう?

IT系の企業であれば、40代、50代でもメイン業務から離脱されている方もいます。

60歳から65歳までに定年を引き上げましたが、企業への弊害はなかったのでしょうか?

過渡期の段階で検証する余地もないことと思われます。

努力義務であれ、企業によっては経営において足枷となる可能性があります。

65歳以降の雇用に関しては、終身雇用が限界と言われる現状、企業に任せるべき問題かと思われます。

最後に

ライフスタイルが多様化する中、70歳まで働ける環境づくりに力をいれるのもいいでしょう。

一方では、高齢になってまで働きたくない人もいます。

又、健康寿命からみても、働きたくても病気等で働けない人もいます。

仕事や働くことに生き甲斐を持った人ばかりではなく、生活を維持する目的だけで働いている人もいます。

現時点で定年年齢は65歳です。

少なくても、65歳以降は国民の誰もが働かなくても生活できる環境を考えて欲しいものです。