2019年10月28日
萩生田文部科学大臣は、大学入学共通テストに導入される英語の民間試験について「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」などと発言したことについて、「説明不足な発言だった。おわびを申し上げたい」と陳謝しました。
大学入学共通テストに導入される英語の民間試験をめぐって、萩生田文部科学大臣は、先週BSフジの番組で、「裕福な家庭の子どもが回数を受けてウォーミングアップできるというようなことがあるかもしれないが、自分の身の丈に合わせて2回をきちんと選んで頑張ってもらえれば」などと発言し、批判の声があがっています。
これについて萩生田大臣は28日、記者団に対し「どのような環境下にいる受験生も自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて適切な機会をとらえて、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものだった」と述べました。
そのうえで、萩生田大臣は「そうは言っても実際、国民の皆様、特に受験生の皆さんに不安や不快な思いを与えかねない説明不足な発言だった。おわびを申し上げたい」と陳謝しました。
そのうえで萩生田大臣は、「受験生が安心して受験できるよう一つ一つの課題の解決に努めていきたい」と述べ、改めて不安解消に取り組む考えを示しました。
出典 NHK NEWSWEB 萩生田文部科学相 「身の丈」発言で陳謝 「説明不足な発言」
萩生田文部科学相が「身の丈」発言で説明不足と陳謝しましたが、そもそも英語民間試験導入の制度自体が説明不足の感があります。
文部科学省の同省HP内に、専用サイト「大学入試英語ポータルサイト」を特設していますが、非常に解かりずらく不親切です。
この点においても国民に対して説明不足と言えるかもしれません。
「大学入学共通テスト」
従来の「大学入試センター試験」に代わる新たな共通テストが「大学入学共通テスト」です。
国立大学受験には必須の試験です。
「大学入学共通テスト」にも英語の科目試験はあります。
この他に、民間事業者が運営する試験も受けなければなりません。
高校3年の受験生は、4月~12月までの間に2回、英語の民間試験を受験することになります。
そのスコアは、大学入試センターの「大学入試英語成績提供システム」を経て、各大学に送られます。
民間試験のスコアは、大学により活用方法が異なります。
「出願要件にする」
「合否判定には使わない」
「スコアを加点する」・・・・
大学によっても更に学部によっても活用が異なる為、「共通テスト」としての意味があるか疑問です。
英語の民間試験は大きく分ければ7種類あるのですが、グレード別となるため30種類程になります。
検定料も5,800円~25,380円と幅があります。中には235USドルの表記もあります。
こんなに種類があっては、実際どれを受けたらいいのか受験生は迷われることでしょう。
英語は「読む・聞く・書く・話す」の4つの技能要素があります。
従来のセンター試験では「読む・聞く」しかできず、「話す」「書く」の力量を測るため、民間試験を導入する理由とされています。
2021年1月に初の共通テスト実施が予定され、共通テストを受験される方は来年の4月~12月に民間試験を受けなければなりません。
受験生にとっては差し迫った問題であり高校等現場では混乱していることでしょう。
FPの視点で見れば、やはり新たに加わる民間受験料の負担が焦点となります。
最低でも4月~12月に受験する2回分が必要となります。
しかしながら、民間試験は年に何度も試験があり、高校3年生でなくても受験が可能です。
7種類30種別ほどの選択肢があれば、どの試験が自分にあっているか試される方もいるでしょう。
今後は、大学の英語対策として高校生に限らず、中学生や小学生の時から英語の民間試験を受験される方も増えることでしょう。
この制度は、大学共通試験としては2回の受験料で済みますが、上記の理由から「子育てにおける教育費」が増す傾向にあります。
制度には様々な問題が山積するため、野党も動き出しています。
2019.10.24
立憲民主、国民民主、社民、共産の野党4党は、制度導入を延期するための「独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案(通称:民間英語試験導入延期法案)」を衆院に提出しました。
法案の延期に関わらず、政府が実施するのであれば、まず受験する高校生、保護者、高校教師、予備校講師等携わる方々への不安を一早く払拭して欲しいものです。