「人生100年時代」は誰が言い出した
「人生100年時代」とは、一体誰が言い出したのでしょう。
いつからか、何の抵抗もなく使われるようになった言葉です。
政府の言葉?
安倍首相の言葉?
2016年、日本で著書「LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略」が出版されました。
著者はリンダ・グラットン
ロンドンのビジネススクール教授という肩書を持ち、人材論・組織論の世界的権威のある女性です。
ライフシフトの前に、ワークシフトを提唱していた人物でもあります。
元々はこの著者の言葉です。
「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」の発売と同時期に、自由民主党所属の小泉進次郎衆議院議員が「人生100年時代の社会保障へ」を発表しました。
日本はこれから本格的に「人生100年を生きる時代」に突入します。そんな時代を見据えたとき、戦後の高度成長期に形成された今の社会保障制度では、これからの私たちの多様な生き方に対応できないのではないでしょうか。
2016年10月26日のブログに記載があります。
「LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略」の発売日を調べてみました。
発売日:2016年10月21日
日本で「人生100年時代」を公の場に言い出したのは、小泉進次郎議員に間違いなさそうです。
その後2017年9月に安倍首相を議長とする「人生100年時代構想会議」が設置され、2018年6月には「人づくり革命 基本構想」が発表される等、政策への反映が見られます。
政府を動かす小泉進次郎議員の政治手腕は、目を見張るものがあります。
「人生100年時代」は嘘?
2018年10月、厚生労働省は社会保険審議会の年金部会に対し、「厚生労働省推計による長生き見込み」というデータを提示しました。
出典:SankeiBiz 「女性の3人に2人が90歳到達 厚労省推計、65歳迎えれば」
現状65歳まで生きれば、男性4%、女性14%の確率で100歳に到達します。
40年後の推計では、男性6%、女性20%の確率で100歳に到達するものと推測しています。
「人生100年時代」とは、100歳まで生きることがスタンダードなイメージを与えます。
40年後の推計値で見ても、男性6%、女性20%に過ぎません。
100歳まで生きるのは、男性の場合6%であれば希なことと言えます。
この数値を見る限り、「人生100年時代」とは言い過ぎな感があります。
嘘と言われても仕方がないのかも知れません。
男性の平均寿命は、平成29年の簡易生命表によれば約81歳です。
現状は「人生80年時代」です。
人生100年時代との差異は約20年もあります。
数年の違いであれば誤差とも捉えれますが、20年は余りにも違い過ぎます。
政府は「人生100年時代」をスローガンに掲げ、それを根拠に「定年年齢を引上げる」のであれば国民を欺くことになります。
ライフスタイルの多様化で、70歳まで働く環境づくりに否定はしません。
国民が、間違った認識を持たないよう説明等の配慮が必要だと考えます。
老後資金等のファイナンシャルの面においては、長生きリスクを考慮し100歳までのシミュレーションは必要かも知れません。