2019年7月2日
金融庁の幹部人事が発表され、老後の資産形成に関して「およそ2000万円が必要になる」などとした審議会の報告書を取りまとめた担当局長が退任することになりました。局長クラスは、定年を延長して引き続き務めるケースもあるということですが、今回は定年を理由に退任するということです。
2日発表された金融庁の新たな幹部人事では、遠藤俊英長官が留任する一方、金融市場のルールづくりなどを所管する企画市場局の三井秀範局長が今月5日付けで退任することになりました。
三井局長は「老後に2000万円が必要になる」などとした審議会の報告書の取りまとめを担当し、国会で「審議会の議論をサポートする事務方として配慮を欠いた対応だった」などとして陳謝していました。
60歳の定年を迎えても局長などの要職については定年を延長して引き続き務めるケースもあるということですが、三井局長は定年を理由に退任するということです。
出典:NHK NEWSWEB “老後2000万円” 報告書まとめた担当局長退任へ 金融庁
このニュース報道、何か違和感がありませんか?
マーカー部分、同じことを2回繰り返して言っています。
何か強調しているようにも思えます。
2,000万円問題の責任を取らされ退任したと言いたかったのかもしれません。
「とかげのしっぽきり」と言いたかったのかもしれません。
NHKの報道の立場では、思惑や憶測での発言はできないことでしょう。
事実を2回言い強調することで、我々に伝えたかったものと思われます。
同報道では、長官と局長の年齢が記載されていませんが、
別の報道では「どちらも60歳」です。
同じ年齢の長官が留任で、「老後2000万円報告書」の担当局長が定年を理由に退任とは何とも不可解に思えました。
同じ国家公務員の60歳なのに一方は留任で、一方は定年を理由に退任?
とても違和感を感じました。
少し調べてみました。
国家公務員の定年は原則60歳ですが例外もあります。
第2 定年制度の内容
1 定年退職(国公法第81条の2、人事院規則11-8第2条~第5条)
職員が定年に達したことにより、その者に係る定年退職日の満了とともに自動的に退
職する制度
⑴ 定年年齢
原則として60歳
例外
① 法律に別段の定めのある場合
○検察庁法・・・・・・・・・・・・・・・・・・検事総長65歳、検察官63歳
② 原則の定年年齢とは異なる年齢(特例定年)を定める場合(国公法第81条の2第
2項第1号~第3号)
○病院・療養所・診療所等の医師、歯科医師 ・・・・・・・・・・・・・ 65歳
○守衛、用務員等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63歳
○特殊な官職等(人事院規則11-8第4条)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61歳~65歳
例・事務次官、外局の長官、財務官、内閣法制次長、警視総監等・・・・62歳
・在外公館に勤務する職員、皇宮警察学校教育主事、海技試験管等・・・・63歳
・迎賓館長、宮内庁次長、金融庁長官、国税不服審判所長、国立看護大学
校の校長、教授、准教授、講師及び看護学部長、社会保険庁の医療専門官、
高等海難審判庁長官、海難審判庁審判官及び海難審判庁理事官、研究所等
の長で人事院が定めるもの(科学警察研究所長、消防大学校消防研究セン
ター所長、国立がんセンター総長、国立保健医療科学院長等)・・・・65歳出典:人事院 国家公務員の定年制度等の概要
金融庁長官は、その例外で65歳が定年のようです。
局長については、報道記事より「局長などの要職については定年を延長して引き続き務めるケースもある」という記載から、定年は原則60歳なのでしょう。功績等の理由があれば61歳~65歳まで延長されるものと思われます。
国家公務員の定年は現時点では60歳で、2025年を目途に65歳へと段階的な引き上げが検討されています。
民間企業では65歳定年があたり前の中、国家公務員は未だ定年60歳で検討中とは何かおかしな話です。
企業へ「70歳雇用」を努力義務と呼びかけるのは時期早々かと思われます。
なぜ政府は、公務員の65歳定年制に足踏みしているのでしょう?
一因には、定年延長することで人件費が増えることがあげられます。
政府がいつも口にする「財源」の問題があります。
民間企業も同じ状況にありながら、法律に従い65歳定年を受入れています。
「言ってる本人が、きちんとやっていない」
そんな言葉が頭に浮かびます。
しかしながら、公務員の人件費は国民の税金です。
負担が余りにも大きいのであれば、慎重に検討する必要があります。