新型コロナウィルスの影響で、企業の早期退職や希望退職の募集が急増している。
東京商工リサーチによると今年上半期(1~6月)だけで41社あり、昨年1年間をもはや上回っています。
企業の人減らしの動きは、コロナ以前から見られ始めていました。
人減らしのターゲットは、給与の高い40代~50代の中高年層です。
「退職の募集」という表現は、一方的な解雇ができない為の表現です。
退職に納得ができなければ、当然ながら拒否することができます。
ただ、退職せずに残った場合は、活躍の場が失われており、パワハラを受けるケース等、居心地の悪い環境が想定されます。
退職に応じる場合、退職金の上乗せ等の優遇措置や再就職支援等があるのが一般的です。
特に退職金の上乗せは、目先に大金を見せられ、辞めても何とかなるよう思うかもしれません。
仮に2000万円の退職金を提示されたとします。
一般のサラリーマンにとって、2000万円は大金です。
例えば、手取り1ヵ月30万円とすれば、年間360万円です。
退職した場合、約5.5年分に相当します。
ボーナス分での支出を含めると、更に年数は縮小されます。
例えば、会社を辞めてから飲食店を経営しようと思うなら、のんびりと検討してはいけません。
生活水準を変えずに1年間検討すれば、400~500万円が消失します。
単身男性で65歳定年まで10年を切っている場合(55歳以上で退職)、年金を貰うまでの間、年間200万円の支出に抑えれば退職金は10年分に相当します。
200万円に引き下げるのは、並大抵の努力ではありません。(ただ今のご時世、中高年が会社を辞めて200万円稼ぐのは大変なことです)
しかしながら、65歳以降の年金生活を考えて見て下さい。
年金定期便等で、自身の年金見込額を確認してみましょう。
多くの方が、年間200万円を下回っています。
公的年金だけで老後生活を頼る方は、65歳以降の生活水準はそこまで下がります。
仮に55歳で会社を辞めるのであれば、退職金が2000万円貰えるとすれば、10年早く老後生活に突入したと考えることができます。
上記は、あくまでも机上論で考え方を示したものです。
個人のファイナンシャル状況は人それぞれです。
単身、妻が働く、子供がいる、持家、住宅ローンがある等、一概には言えません。
確実に言えるのは、優遇された退職金を過剰評価しないことです。